HOME検索
ようこそ、「スネークパパの掲示板」へ。お気軽に投稿いただければうれしいです。(『スネークパパの部屋』管理者イレブン)

■■イレブンへの連絡先■■ メール: hal9000jp@water.ocn.ne.jp ■■■■
名前
題名

内容
画像1
画像2
画像3
画像4
修正キー (英数8文字以内)

 【岩田系大研究:岩田孝七の鳩理論研究B】『リレー対談 小俣今造VS岩田孝七 』 愛鳩の友誌1959年(昭和34年)1月号掲載  イレブン  2019年11月18日(月) 21:52
修正
『リレー対談 小俣今造VS岩田孝七 』は、イレブンが現在持つ資料の中で一番古い岩田孝七の対談記事です。この記事が取材されたのは、1958年の秋から冬にかけてのようです。

この時、岩田系は昭和30年にレースを再開して4年目を迎えたばかり、新進気鋭鳩舎でした。4年目とはいえ、800K翌日1羽帰り優勝(岩田28号)、高松宮杯全国優勝(55-138369♀)、余市1000k翌日帰り優勝(日本海号)、700K西日本地区総合優勝岩田66号)、余市1000K総合優勝(岩田566号)等々、怒濤のような快進撃の真っ最中で、既に全国に岩田系の名をとどろかせていました。この対談記事が掲載された1959年の春レースでは、【岩田221号57-710221】による稚内1200キロ3日目唯1羽帰り総合優勝を果たし、日本最長距離樹立を果たしています。

一方、対談の相手は、銘系錦亀系の確立者であり、当時の関東鳩界の大御所、小俣今造でした。そもそもこのリレー対談は、小俣今造が当時の注目の鳩界人と相手を変えながらリレー対談していくといった企画でした。ちなみに第1・2回目の対談相手は並河靖だったようです。

連載3回目となるこの対談記事では大御所小俣今造の前で、時折恐縮しながら語る当時42才の岩田孝七の姿がとても新鮮です。系統確立者である小俣の随所に見られる鋭い質問で当時の岩田孝七の鳩理論の全貌が読み取れる貴重な資料となっています。
全文を引用しますね。

 ◆◆ リレー対談 小俣今造VS岩田孝七  ◆◆   イレブン  2019年11月18日(月) 21:58 修正
□□□□□□□□□□□□□□□□□□

昨年10月号の並河氏との対談を終ったあとで、小俣氏が希望された相手は、名古屋の岩田孝七氏(日本鳩レース協会理事)であったが。お互いにお忙しいために、なかなか会う機会が作られなかった。

 最近まで在来系一本槍で相当優秀な成績をおさめながら、異血導入のため、あえて輸入鳩数羽を手に入れた小俣氏としては、戦前戦後を通じて、ほとんど輸入鳩を専門に手がけ、しかも数年間にわたって、変らぬ好成績を続けている岩田氏の秘訣を、なんとかして探りたかったものであろう。

 岩田氏としても、在来系を使翔し続けて″雨将軍″とうたわれるまでに至った小俣氏と語りあう機会をもてることを、無上のたのしみと考えていられたようである。小俣氏のご都合で、対談場所が小俣氏宅と決ったときには、鳩舎訪問の、またとない機会だと、遠路をいとわず、足を連ばれたのであった。

 愛鳩家は、未知の人同士でも、一度会えば百年の知己のようになる。初対面の挨拶かすんだときには、すでにお二人の呼吸がぴったりと合って、話は、それからそれへと繰りひろげられていったのであった。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□(つづく)

 ■■ 輸入系と在来系 ■■  イレブン  2019年11月19日(火) 5:51 修正

■小俣■ 岩田さん、いま日本中の愛鳩家が一番関心をもっているのは、輸入鳩か在来鳩かということじやないかと思います。わたしも、じぶんでもおかしいぐらい、鳩に対する情熱が、何十年も変らず、からだのうちに燃え続けているのですが、さて、輸入鳩か在来嶋かということになりますと、在来系といっても、ほとんど錦亀系1点張りですし、輸入鳩といったら。ごく最近に数羽入手しただけで、まったく、なにも知らない初心者なんですよ。
 きようは、愛鳩の友社の御好意で、輸入鳩の権威者であられる岩田さんに、わざわざおいで頂いて、一生に二度とない好機会だと感謝しています。ひとつ、輸入鳩について、くわしくお話して下さいませんか。
■岩田■ そうおっしやられると、まことにどうも、穴があったら入りたいぐらいで……そんなにお話する材料もないのです。わたしとしては、ただいま鳩舎を拝見して、資重な種鳩を一羽一羽つかまして頂き、錦亀系の神随にふれることができましたことがなによりうれしかったことで、これから、ぜひとも錦亀系についてのくわしいお話をうかぶいたいと思っていたところなんですよ。どうぞお願い致します。
■小俣■ この前、並河さんにも、いろいろお話しましたので、こんどは岩田さんの番ですよ。岩田さんのお名前も、ずいぶん古くから聞いておりますが、わたしだけでなく、おおぜいの人たちが、岩田さんの鳩歴を知りたいと思ってるんじやないかと思います。
■岩田■ わたしが飼い始めたのは、昭和の初期でしたでしようね。いまだに忘れられない思い出がありますよ。
 中学の1年生でしたから、まだ14才ぐらいときです。おやじからお金をもらって、ひとりで大阪まで鳩を買いに行ったんです。西種さんだとか、2、3の鳩屋さんを廻って、とにかく買いこみましてね。バスケットにいれて、大阪の駅で、いま考えれば、ずいぶんションポリしているように見えたんでしようね。汽車に乗ってもからも家出少年かなにかと思われたんでしようかとなりに乗っていたお客さんたちが、どうしたんだ、と心配そうに言葉をかけてくれましたよ。じぷんでは、一人前のつもりでいたんですけどね。
 まあ、そんな時分からの鳩飼いですよ。それから、ずっと鳩を続けておりまして、中学の4、5年生時分には、おもにイギリスのオスマンその他と文通し、書物の上でイギリスの鳩を研究していました。
■小俣■ そうすると、そのころから。ベルギーやなんかでなく、イギリスの鳩に興味を持たれていたんですか。なにか、地形とか気象条件のことを考えていられたわけですか。
■岩田■ たしかに、それはありましたね。機会かあったら、イギリスの鳩を入れたいと思っていました。しかし、実際は、まだそこまで行かず。関東や関西の在来系をいろいろ入手してやっていたわけです。
■小俣■ 岩田シオンという名を、ずいぶん古くから聞いているのですが……。
■岩田■ それは、ちようど関口さんが愛鳩の友の先月号に、ちょっとお書きになりましたが、わたしが並河さんと知己になっておりまして、並河さんが関口さんに頼んでアメリカから鳩を入れようじやないか、ということで、外国鳩がほしいと思っていたた矢先でしたから、とにかく、とびついたわけです。バイツマン氏から、シオンを買ったのです。
 まだ、学生のころでしたからね。おやじにお金をせびったら、鳩ってそんなに高いものかと、びっくりしましてね。そのシオンが うまく当りまして、ずいぷん成績をあげることができました。まだ外国鳩の珍らしい時代でしたし、永代さんの普鳩にも紹介されたりしたので、岩田シオンなどという名前を頂戴しましてね。
■小俣■ いろんな系統をたくさんお入れになったのは、戦後でしたね。
■岩田■ そうです。戦争で、すっかりやられてしまいましてから、 しばらく仕事も忙しいもんで、鳩から遠ざかっておりましたんですがね。29年ごろ、商売の関係でアメリカ、ヨーロッパを廻ることになりましてね。鳩を買うなんてつもりは、ぜんぜんなかったんですが、アメリカで、弟(誠三氏−鳩では令兄とともに有名、和鳥の大家でもある)から頼まれた小鳥の店へ寄って、たまたま鳩を見たもんですから、話がそっちのほうへ移っちやいましてね。
 アカルデイ氏を訪問して、鳩を貿うような始末になり、ついでヨーロッパへ渡ったときには、アカルデイ氏から欧州鳩界の事情を聞いて行ったもんですから、鳩舎めぐりも。ずいぶんやってしまいました。
 とうとう。帰国したときには、七系統十数羽の鳩が、一足お先きに着いていたというわけです。
(つづく)

 ・  イレブン  2019年11月19日(火) 5:51 修正
■小俣■ それだけの鳩をそろえられて。熱心におやりになってるんですから、かないませんよね。そのなかでも、力を入れておられるのは、どういう系統ですか。
■岩田■ まあ、わたし自身、好みというものがありますがね。どの系統をとっても、人によって好みが違うわけですから。簡単にどれというわけにも行きませんね。しかし、きよう小俣さんの鳩舎を拝見しますと。非常に鳩がそろっており、その鋭さは外国鳩と非常に接近した点があるようですね。そこへ、こんど新らしく輸入鳩を入れて研究されているのは、好みの鳩に固定しながら異血を導入されるということでたいへんいい着想だと思いました。
■小俣■ わたしか外国鳩を入れたのは。愛鳩の友社の御指導によるものですが、わたしとしても、純系のつがいを入れて研究するだけの余裕がないものですから、じゆうぶん思ったようなこともできません。どうしても、いままで錦亀系だけで長年続けて来まして、結構みなさんと肩を並べてこられたものですから、つい、よそみをしなかったというだけですが、異血を導入しなければならない時期になっていたというのが、わたしの鳩舎の真相でしょう。でも、まあ、おかげさまで、さっそく新しい系統を交配して、昨年秋から使ってみましたところが、ごく少数で参加したにもかかわらず、競翔部レースで上位に入賞することができました。錦亀27系と交配したのが、体型も好みに合い、結構よく飛ぶんですよ。
■岩田■ 近親にもならぬし、ほんとうにいい機会でした。ぜひ、これからも続けて行かれるようにおすすめします。
■小俣■ 異血導入は、たしかに必要です。
■岩田■ わたしどもでも、輪入系ばかりですが、いろんな系統がありますので、じぶんの鳩舎のなかで、らくに異血交配ができるんです。また、純系もとりますか、よその鳩舎へ行って在来と交配しても、非常によくなる例が、たくさんありますね。
■小俣■ 並河さんともお話したんですか、愛鳩の友社から″雨将軍″なんて、とんでもない名前をもらってしまいましてね。これを維持して行くのが、たいへんなんですよ。
■岩田■ どうしても、雨の日に帰さなけれぱならないというわけでね(笑)
■小俣■ わたしの鳩舎ではだめなんですが分家では、みなよく飛んでるんですよ。ごく最近では、日鳩の石鍋丈吉さんが選手権レースの3位になっていますし、静岡で鳩協の青木繁さんが、高松宮杯の優勝候補にのぽっていますが、これもうちから行った系統です。
■岩田■ ああ、あの分速1330以上でているのね。あれは宮杯は確実ですよ。あれが錦亀ですか。では、うちの負けだ。うちの系統が、静岡では2位になったんです。
■小俣■ それは偶然ですね。それにしてもうちの系統も、まだほかで相当成績をあげているので、本家があぶないんですよ。だから。ずいぶん人からほしいと言われるんですか、出すのをちゆうちょしています。
■岩田■ でも、よその鳩舎で良く飛んでくれると、じぶんの鳩舎で飛ぶよりうれしいですね。
■小俣■ すぐ成績を電話で知らせて来ますが、ほんとうにうれしいものですね。

 ・  イレブン  2019年11月19日(火) 5:52 修正
■岩田■ やはり、系統は物を言いますしね。なにしろ、わたしの戦後に入れたのは、7系統ですから、おもしろいこともあるんですよ。
■小俣■ 7系統といいますと……・
■岩田■ アカルデイ。バーカー、オペル、(ローガン)、プリクー、シオン、スタッサール、アイザクソン……これだけですね。それぞれ純なんですよ。これをもって来て、まず最初に純系をとり、これを一斉にスタートさせたんですか、実におもしろいんです。戦前に、シオンだけやっていたときには味わえなかったような、まったくおもしろい結果が出ました。異血の入っているものもありましたが、一応、七種類が純でしょう。それが一斉にレースに出たんですから、それぞれの系統の特長が、おそろしいほど出るんですよ。これには、系統のおそろしさを痛感しました。とにかく。みんな同じ天候その他の条件のもとに放すんですから、それが、きよう のレースでは、AとBの系統が卜。プに入ってくるかと思えば、次のレースには、CとDの系統が先頭を切るというように、その日その日の条件に向いた系統が、はっきり分るんですから、まるで試験鳩舎のようなものでね。
■小俣■ほんとうにいいものを選べるわけですね。
■岩田■ そうなんです。そして、そのなかでも、特にじぷんの鳩舎の管理条件とか、じぶんの生活状態にあうものを選んで、いま残して来ているわけです。というのは、やはり、その人その人によって、鳩の世話のために時間をさかれる人と、そうでない人がありますからね。わたしなんかも、ひまがないもんですから、なんとかして要領よくやろうという考えが先にたって、鳩の選び方もそうなったんです。
■小俣■ 輸入鳩は、体型がみんないいでしょう。
■岩田■ いや、それか、みんなまちまちですね。というのは、やっぱり向うさんも、日本の鳩飼いと同じでね。好みが非常にあるわけですから、それぞれじぶんの流儀でやってると同様、休型もいろいろですね。特にベルギーあたりは、レースか非常にはげしいですからね。観賞鳩としての好みと、レース鳩としての好みに、はっきり2分化されているようですね。
■小俣■そうなんでしょうね。
■岩田■ 何しろ、莫大な賞金がかかっていますからね。みたところがきれいだ、なんで言ってられないんですよ。
■小俣■ 鳩が盛んになるわけですね。
■岩田■ わたしがベルギーへ行ったとき、世界的な有名鳩舎の代表鳩の展覧会を見たんてすがね。各国から有名鳩舎か4、50軒。それぞれ3、4羽ずつ出しているんですか、それをみたとき、ほんとうに各系統がまちまちなんですね。ですから、この系統が飛ぶんだとか、どうとかは、まことに言いかねるということですね。それぞれ特長か出ていて、一見して、これまでは何鳩舎、次は何鳩舎と、個性かはっきりと出ています。どの鳩舎でも、異血導入をしているんでしょうが、それにもまして、各鳩舎の好みか出ているんですね。結局、わたしとしては、小俣さんとにているかもしれませんが、実績を重んじて進むことにしています。
■小俣■ 実際、わたしも、つねに実績を指針にしたいと思っています。
■岩田■ そのうちでも、休型のにたものということですね。おたくの鳩舎を拝見しても、一見して、相性の良さそうなものを手に入れられていることか分ります。
■小俣■やはり、羽色、限色、休型その他じぶんの好みにあうものをつけますね。
■岩田■ さすがに、その点は。はじめて輸入鳩を入れられたのに、お目か高いし、そのほかの在来鳩を拝見しても非常に鋭い、よくにた優秀な鳩を集結されていることが非常にピンと来ましたね。小俣さんの好みと、わたしの好みは、にているようですね。
■小俣■ わたしも、ガムシャラですから、当るかどうか分りませんが……。
■岩田■ ああいう鳩同士は合うでしょう。
小俣さんの錦亀系は、さすがに飛ぶ鳩だなということがピンと来ますね。わたしもむかしは、ずいぶん関東の在来系を見て歩いたのに、錦亀系だけは、聞くだけで手に取って見たことがなかったんですか……。
それに、よそさんの系続か一目で分るものでは決してないと思いますか、やはり、一脈相通じるような、一見して飛ぶ鳩だと思わせる鋭い顔の印象ですね。
■小俣■眼が、なんとも言えませんね。この鳩は、現在、あまり飼育している人が少なく、ことに東京の場末で、多くの愛鳩家との交渉も少ないので、ひとりでおもに飛ばしているんですが、広い東京の中央で、たくさんの人が、たくさんの系統を飼って飛ばしていられる。その人たちか、お互いに系統を重んじ、スタートから着意しながらやっていられるので、非常にたくさんの鳩が入賞しているようですか、わたしの鳩も、比率から言ったら決して負けていないのではないかと自負しています。
 だから、多少ふるわないことかあってもあきらめて他の系統にすることもないという観念になるんですよ。ですから、どうせ異血を瓦れるんなら輪入鳩を、という気持になりましてね。
■岩田■ そうですね。遊びですから、おもしろく行かないといかんですからね。わたしも、輸入鳩を飼育して五年になりますから、七系統の特長をよく知ってるんですよ。これを詳細にお話すれば、あるいは参考としていいのではないかと思いますか、しかし、よく初心者の方々は、一例をあげられると、全部がそういうものだと決めこむことかあるので、よほど慎重にしないと…… 
■小俣■錦亀は金眼だというと、ほかの眼色が全然出ないものと決めてしまったりしますからね。
■岩田■ わたしも、むかし各地の悪天候に強い鳩を手がけたことがあり、輸入鳩の悪天候に強いものも手がけましたが、やはり外国で長年陶汰されて来た鳩は強いということを感じましたね。短。中、長とも平均に早い鳩が、たしかにありますね。
 それから、気を付けなければならないのは、ベルギーあたりで。優秀な鳩が、長距離鳩だけではないということです。各レースに賞金がかかっているので、なかには、短距離専門の優秀鳩もあるわけです。もしその鳩を買って来て、長距離で失敗し、だめだといったら、ベルギー人が迷惑するでしょう。
 わたしがベルギーへ行ったときも、最初は、日本という小さな国から来たんだからと、スピード鳩や短距離嶋専門の鳩舎を紹介されたんです。それじゃ、いかん。われわれは、最長距離を狙っているんだといつたら、紹介される鳩舎が違って来ました。
■小俣■ 日本とは違うんでしようね。
■岩田■ ですから、そういうことを考えると、日本の鳩界が飽和状態だとかなんとかいうが、まだまだ改良発展の余地か、非常にたくさんあると思います。
 その発展が。いいか悪いか分りませんかとにかく、まだまだ盛んになると、わたしは思います。    (つづく)

 リレー対談 小俣今造VS岩田孝七  新春(その2) 愛鳩の友誌1959年2月号  イレブン  2019年11月19日(火) 5:52 修正

 ■■■ 小俣式と岩田式 飼育・訓練から レースまで   ■■■  イレブン  2019年11月20日(水) 5:32 修正
■小俣■わたしは、やはり環境上、自然にまかせるという、一口にいうと自由舎外のような管理をしていたんですが、先日、猫に入られたもんですから、朝晩の舎外に変えました。いずれ、また、自由方式に戻そうと思っています。
 もっとも、わたしの自由方式というのはただ朝から晩まで、のべつに舎外させるというんじやなく、職業柄、朝宸訪なもんですから。冬は、朝起きるのが7時半ごろになります。それから舎外に出して、おわるのが10時から11時ごろ。そこでエサをやります。夕方は3時ごろ出して、6時半ごろにエサをつけています。機会があれば、近距離の放鳩訓練もやりたいんですが、日常は、まあ、こんなところですね。
■岩田■ エサは、だいたい、どんな具合に‘やっていますか。
■小俣■ 行きあたりばったりですね。だいたい、喫食状況を見てやっていますか、毎日一定の量ではありません。その口によって、多い少ないがあり支すね。
■岩田■ それは、どういう点から判断なさっているんですか。
■小俣■朝、10時ごろエサをやるのと、11時ごろやるのでは、食べ力が違います。まあ、全休の量の一割までも違いませんかね。その、わずかな関係をみて、やっているわけです。
■岩田■ エサは、朝晩2回ですか。それから、多少残す程度までやりますか。
■小俣■ 一応あたえて、10分か15分たったら、また、まいてやります。はじめの7、8分は、たくさん食べますね。なかには、それで満腹して、水をのむ鳩もいますが、じゆうぶんに食べていない鳩もあるので、2回に分けてやるわけです。そして、しばらくして、いくぶん残る程度にして、あとは引上げてしまいます。
 夜は、3時聞ぐらい電燈をつけておいてやります。9時半ごろ消燈に行くと、ほとんど食べてしまっています。
■岩田■ そうすると、1日に2回、満腹させるということですね。
■小俣■ 岩田さんは、どういう具合にやってらしゃいますか。
■岩田■ わたしは、戦前から、エサは4、6時中やりっぱなしです。戦後は、特に仕事の関係から、そういう傾向か強くなりましたか、1年中、1時間としてエサか切れたことかおりません。ぽんとになまけものの標本みたいなものですね。ですから、日によっては、鳩舎へ行かなくてもすむんです。
■小俣■その場合、いつも腹に一杯入っていますか。
■岩田■ 特に調べてみたこともありませんが、やはり、そうは食べ続けていないんじいかと思います。夕方に一番多く食べじやないでしょうか。水は、いつでも飲んでいるようですからさないように注意していますか……。
■小俣■ 舎外は、どうですか。
■岩田■ わたしも、特別朝寝坊なもんですから、8時前に鳩を出したことは、ほとんどありません。
■小俣■ 東京と名古屋では、日の出の時間も違いますからね(笑)
■岩田■ 8時に舎外したら、早いほうかもしれませんね。
 その前に、夜明けに、ちょっとエサを食。へるかもしれません。’
■小俣■明るくなって、エサが見えれば、食べるでしょうね。
■岩田■ それから、舎外は、厳しくやらないほうです。ほんとは、自由舎外にしたいんですか。猫が出るので、思うようには行きません。理想としては、まあ、30分から40分飛べば、じゆうぶんじやないかと思っています。
■小俣■ 30分飛べば、上々でしょうね。もっとも、うちでは、1時間ぐらいは飛んでいますがね。
■岩田■ 舎外は、季節と時間によって、いろいろで、そのうえ、午後は、あまり飛ばないんじやないでしょうか。全然飛ばないというんじや、困りますかね。
■小俣■ まあ、わずかでも飛べばよいでしょうね。よく、2時間も飛ぶ、なんてことを聞きますか……。
■岩田■ コンディションの良いときには、かなり飛ぶこともあるようですか、なかなか、わたしたちには、飛び続けに飛んでいるのを、見ているひまがありませんから・・・ 
■小俣■ それも、そうですね。
■岩田■ 東京の人は、強制されている場合か多いようですが、名古屋では、強制は少ないんです。関西は、一体にそうですね。わたしりところでは、夏場は、全然歩いている程度です。寒くなってくると、程度、進んで飛ぶようですがね。結局、舎外は、春の訓練の始まる前、正月あたりから飛び始めて、1、2ヵ月のに、3、40分も飛ぶようになればいいじやないでしょうか。
■小俣■たえず。漸進的にやって行くよりしようがないですね。なかなか、できないことですよ。
■岩田■ 時間的に、できませんよね。まあ、エサも舎外も、鳩のコンディションをみて、調整して行くことか必要ですね。強制も、環境によっては、やって行くことがよいでしょう。特に、初心者は、よその、いろいろ成功している例を見て、そのうちから、じぷんの環境にあう方式を採用して、やって行くことがいいのじやないかと思います。
 先日、関西で、サラリーマンだけの鳩の飛ばし方を考案しようじやないか、という話が出たんですが、そういったように、環境に応じた飼育法をやることが、肝心じやないでしょうか。

  ◎ レースのテクニック ◎  イレブン  2019年11月20日(水) 5:33 修正
■小俣■ レースのテクニックは、いかかですか。
■岩田■ これは、愛鳩の友などにも、詳細な研究発表がされているので、このごろの人は、やりよくなっていますね。それぞれの鳩舎によって。多少違うところがありますからね。わたしのところでは、だいたい、抱卯状態で臨むことが一番良いと考えて実行しています。そのほかには、訓練に入る前からの、日常管理の目配りというか……。
■小俣■ 平均した管理が必要ですね。
■岩田■ あまり急な変動は、いかんようですね。
■小俣■ そうでしょうね。
■岩田■ 結局、舎外をある程度やって体力をつけるとともに、疲労させない。そこの兼ね合いでしょうかね。そして、最後には比較的無難な状態で臨む、ということですね、わたしの行き方は。
■小俣■ それまでの状態を見きわめることが、非常に困難ですからね。
■岩田■ やはり、人間のからだの状態と、一脈通じるところがあるようですね。小俣さんもスポーツをおやりだったようですが、わたしも、昔の高商へ行っていましたころ、水泳ばかりやってましてね。じぷんがやっていた水泳のレースも、鳩のレースも、同じことじやないかと考えることがあるんです。合宿のことや、レースのときのことなどを思い浮かべましてね。鳩に対して、いくらか察してやるということがたしかにありますね。
 どういうふうかと聞かれると困るんですが、一口に言えば、結局、さきほどの繰り返しになるんですが、体力をつけて疲労させない、オーバーワークさせないということに帰しますね。

■岩田■ お宅ではどうですか。最後の追い込みとか、必勝の秘訣は?いろいろとおありなんでしょうね。
■小俣■ 秘訣とかいわれましても、何しろ難しいことですから……。
■岩田■ エサなんか、どうですか。レースの最後には、相当強くする、というようなことかあるんじやないですか。
■小俣■ 脂肪分、つりま麻ノ実を、いくらか多くするという程度で、そのほかは、ほとんど変りませんね。
■岩田■ 玄米は?
■小俣■やりません
■岩田■菜種は……?
■小俣■ やっていません。わたしは、一年中、トウモロコシ、麻ノ実、白エyドウの三種類だけです。ただ、レースの最後に麻ノ実を多くするといっても、その直前には、ちょっと変っているんです。それは。持寄りの日になると、麻ノ実を、うんと減らすんです。
 だいたい、持寄りのときには、エサを与えないで出すことが多いんです。どうしても、乗りものに酔いますからね。
■岩田■ なるほどね。
■小俣■ 鳩には薬が難かしいですからね。汽車の旅をさせるんだというので、人間の船酔いの薬、たとえばトリプラなどを飲ませたらと思ったこともあるんですが、だめですね。
 最初は、土鳩を使って飲ませてみたんですが、すぐ失神状態になりますね。
■岩田■ 敏感なんですね。分量は……?・ 小俣だいたい大人の十分のI、乳幼児の計算でやってるんですが、それでもこたえますね。胃液まで全部だして、苦しみます。やはりエサで加減して行くより方法がありませんね。
■岩田■ 薬の話になりましたが、おたくさの立場として、どうですか、
薬の使用は……?・
■小俣■ いつも言ってるんですか、紺屋の白ばかまなんですよ。いまのトリプラの話じやないですけれど、難かしいですから、使ったこともないんです。
 500キロ以上のレースになって、疲労して帰って来た鳩に、栄養剤を与えるということはありますがね。
■岩田■ 栄養剤はなにを……?
■小俣■ 単にビタミン剤です柚・
■岩田■ ミューゲなどには、オーレオマイシンなどが効くということですが……。
■小俣■ わたしの考えでは、効果は、あまりないと思いますね。
■岩田■ 腹痛には、オーレオマイシンがよく効きますね。
■小俣■ それは、よいようです。それからメチオユy剤、たとえばグロンサンなどですが、あれは、あらゆる方面によく効きますね。あれは、大人の半量やっても、だいじようぶです。
■岩田■ なるほどね。
■小俣■ わたしは、レース鳩に対しては、原則として、五〇〇キロ以下では、どんな場合にも薬を与えないことにしています。これで体力がもたない鳩は、とても八〇〇キロや1000キロは無理だ、という考えからです。
■岩田■ わたしも薬を使わない方式です。おたくのような専門家はいいですが、鳩には、名医でないと、かえって危険を招くことになりそうですからね。
■小俣■ 害になることがありますからね。

 □□□ 岩田氏の作出論 □□□  イレブン  2019年11月20日(水) 5:34 修正
■小俣■作出の話になりますが、わたしは系統的にいいものといいものを配合するようにしています。岩田さんは……?・
■岩田■ 鳩の特長を見きわめるには、年代がかかりますからね。
■小俣■ごもっともですね。
■岩田■ 結局、どちらさんも同じでしょうが、わたしどもでも、いままで各種の輸入鳩を入れて、そのうちで、じぶんの環境にあいそうな、筋のいいもの――それにも、それぞれ一長一短はありますが――を主体にして、第1に実績からみて配合するようにしています。名古屋では、どうしても、天侯の変化の激しい裏日本コースでレースをしなければなりませんので、曇りに強い系統ということになりますが、個々の系統については、これがどう、あれがどう、とも言えませんね。いまのところ、主体は、フカルデイ、N・パーカー、ローガン・オペル、それにプリクー、こんなところが環境に適し、こなしよい系統のように思われますね。
■小俣■ 昨年の春の好成績だった鳩の系統も、そうですか。
■岩田■ ええ、そうです。そのほか、スタッサール、シオンもいいですね。結局、わたしの式で行きますと、晴天にも曇天にも格別安定性のある、比較的使いよい鳩を、ということになりますが、それには、特に系統にとらわれず、最後に行って強い鳩の系統を一層強化するという、実績陶汰主義を繰り返しているわけです。
■小俣■輸入鳩は、若いときには飛ばないとかいわれますが、たとえば、満二才ぐらいから飛び始めるといわれますが、これはどうですか。
■岩田■ わたしが7系統を飛ばしてみて、はっきり言えることは、愉入鳩が晩成だとか。二才ぐらいからよいとかということは言えないということですね。非常に早熟なものも、晩熟のものもあって、ただ1つの系統の結果をみて、輸入鳩がどうこうと、一口に批判できません。アカルデイは、極端な早熟ですし、また非常に好天向き、悪天向きの系統などがあります。
■小俣■ 早熟であって、年老いても好成績を続けるというのは……?・
■岩田■ 早熟だからといって、早く衰えるということはありませんね。いま、わたしのところで、一番古いのは、50年生れ、51年生れで、現在8才前後ですが、まだシャンシャンしています。それから、輸入の直仔を使えるか、というようなことを言われますが、これも実験の結果、わたしどもとしては、全然そういうことは無関係だと断言できますね。
■小俣■ 満一才半ぐらいから使う方がよいとか、7・8ヵ月ごろから使うと成功しないとかいうことを。わたしは、最近、人から言われましたが……。
■岩田■ 晩成の鳩は、そうして使わなけれぱならないでしょうがね。また、わたしが、最近、興味を持って考えているのは、記録鳩の直仔が飛びにくいか、変りがないかということで、小俣さんもお分りでしょうが、わたしは、記録鳩の直仔に、同じように記録鳩ができる、ということなんですね。というのは、最近は、わたしのところでは。記録鳩の直仔ばかり作っているんですが、それをみんなレースに使ってみて、みんな行けるんです。ですから、昔と違った考え方になりましたね。これは、輸入鳩でも在来鳩でも同じことでしょう。小俣さんの鳩舎を拝見しても、記録鳩の直仔が、みな記録鳩になってるんですから、このことは、あまり考える必要がないと思います。
■小俣■ かぎられた環境では、作出も実験もかぎられてくると思いますが……。
■岩田■ それも、考え始めたら、きりのないことですからね。あれもこれも巣引して、飛ばして、なんて、なかなかできるものではありませんよ。おたくも少数、わたしも少数ですから、実績をみてやるという、まあ、現実的なことになりますね。
■小俣■ 職業じやないですからね。
■岩田■ まあ、そういうことになりますかね。……(二人大いに笑う)

 ■59年度の抱負■  イレブン  2019年11月20日(水) 5:34 修正
■岩田■ 小俣さん、ことしの抱負は、いかがですか。
■小俣■ 希望は、たくさんあるんですが、ことしは。とりあえず、外国鳩導入の1年生ですから、できるだけ外国鳩の血の入ったものを使翔して、くわしいデーターをとってみたいと思っています。その意味で、きよう、岩田さんとお知り合いになれたこと、いろいろとお話をうかがえたことが、非常にプラスになったと感謝しています。これからは、ときどき文通をさせていただきますから、よろしくお願いいたします。
■岩田■ いやいや、こちらこそ、たいへん貴重なお話をうかがって、ありがたく思っています。
■小俣■ わたしは、ことしこそ、両協会の対抗レースが生れてほしいものと願っています。
■岩田■ わたしとしては、両協会の対抗レースも、東京なら、おもしろいだろうと思っています。東京にいれば、喜んで賛成するんですがね。しかし、一般的に言えば、対抗というより、協会を問わず、みんながまざりあってなごやかなレースをしたいものですね。
(完)

 岩田系研究における「ル・アルジェントン号」ドマレー作について  薩摩どん太  2019年11月18日(月) 23:23
修正
イレブンさん、こんばんわ
かねがねお世話になっています。

ある競翔家のブログを閲覧いていたところ、ドマレー作の「アルジェントン号」の話題がありましたので尋ねてみましたら、快く知る範囲で回答してくださいました。


ご存じかと思いますが、以下の内容でした。


「ル・アルジェントン」
B60−2388202 栗胡麻刺 雄
アデラン・ドマレー作翔
アルジェントン506k 840羽中1位
アルジェントン506k1103羽中1位
アルジェントン506k1422羽中1位
アルジェントンIN506k2207羽中3位
マルセイユIN822k1823羽中111位
でレース中止種鳩にする。


雄親 ル・341
 B57−2233341 栗胡麻
ドマレー作翔  ブリクー系
200k〜900k優勝 入賞多数


雌親 ルージュ・ド・ノーテル(ミュニィエの母親)
 B52−2341542 栗胡麻
ウィリー・ヘルマン作
トレムリー鳩舎のブリクー系
直仔に有名なミュニィエがいる

つまりアルジェントンとミュニィエは異父兄弟


アルジェントン号✕ルージュ・ド・ノテール号の直仔に「ローサ♀」

ミュニィエの配合鳩として日本に輸入された
「ローサ」B63−2269535 濃い栗胡麻
この鳩がアルジェントンの直仔でした。



ローサは雌鳩で宮沢和男鳩舎に導入され
ミュニィエとの交配で3羽
ファンネーのル・ロアとの交配で2羽
その後、ローサは盗難にあって消息不明とのこと。


所感:
アルジェントン号、ミュニィエ号、佐々木ノース系のミュニィエの弟を作出した母親のルージュ・ド・ノテール号は老鳩ながら幾度の異父交配で銘鳩を出していますが、ただ者でないことが当時のドマレーブリクーでした。

イレブンさんにその後の「ローサ」の子孫の行方がわかれば幸いです。

 現在、ブリクー系の資料を調査中です。  イレブン  2019年11月19日(火) 5:46 修正
薩摩どん太さん、先日からお電話いただきありがとうございました。現在の「岩田系大研究」の意義を深くご理解いただいていることに嬉しく思っていたところです。イレブンは、この岩田系研究の上で、ブリクー系の観点からの研究もとても大切だと考えています。

その理由は、岩田系の代表鳩「岩田28号」がオペル3622とブリクーZ44の配合から誕生しているからです。これまで、岩田系と言えば777×619と4665に焦点を当てて語られ続けて来ました。しかし、岩田系の形成の歴史において、岩田28号は、日本海号・岩田221号と並んで同様に重要な位置を占めていますが、その母親のZ44ブリクーついてに語られることはほとんどありませんでした。

先日からのお電話で、近年、日本各地で活躍しているカルトース系(ユーロー・ダイヤモンド号やスーパー・マリオ号)がブリクーの流れを強く受け継いでいることを教えて頂いたこともあり、この機会にブリクー系をキチンとスネークパパの部屋で研究したいと考え、資料調査を進めているところでした。

まだローサ号やアルジェントン号の資料には行き着いていませんが、現在執筆中の「岩田孝七の鳩理論研究」が一段落し次第、ブリクー系の調査研究に移る予定です。

確か、ミュニエ号の日本導入時の記事があったように記憶していますので、その資料が見つかれば、ローサ号の画像を紹介できるかも知れません。しばらくお待ちください。

それにしても、「憧れのミュニエ号」の話題となると、なんだかワクワクとした気分になるのはなぜでしょうね。きっと少年期の「憧れ」の気分が遠い記憶の奥から蘇っているのかも知れませんね。

 大阪に行ってきました。  イレブン  2019年11月17日(日) 19:56
修正
甥っ子の結婚式で一族揃って大阪に行ってきました。

 ・  イレブン  2019年11月17日(日) 19:58 修正

 【岩田系大研究:岩田孝七の鳩理論研究A】『私の選鳩眼 岩田孝七氏の場合』 ( ピジョンダイジェスト誌、1977年6月号)  イレブン  2019年11月16日(土) 3:22
修正
岩田孝七の鳩理論研究の第2弾はピジョンダイジェスト誌(1977年6月号)に掲載された「私の選鳩眼 岩田孝七氏の場合」です。岩田孝七はこの記事のインタビューの中で、「目の構造」について次のように述べています。

「眼の構造も、鳩の能力判定をする上で。相当大きな要素になるんしゃないですかね。眼の中に構造から、その鳩の知能がわかる」

岩田孝七の目の理論についてこのような踏み込んだ発言が掲載されている資料は、これまでのところ他に見当りません。その意味からも、この「私の選鳩眼 岩田孝七氏の場合」は岩田孝七の鳩理論を知る上で貴重な資料だと考えています。

先日から、この掲示板に掲載した「世紀の対談ローセンスVS岩田兄弟」の中で岩田孝七がローセンスに「目の色は関係ありますか」という質問を投げかけたいう下りがありましたね。引用します。

■岩田孝七■ 目の色について、性能的な面を左右するような意見もありますが、ローセンスさんはその点について、どのように考えておられますか。
■ローセンス■ 目の色は鳩の性能には全然関係ないと思っております。

本資料でも岩田孝七は「目の色」については同じように述べています。

□本誌□眼については、いかがですか。
■岩田■ええ、よく議論されている問題のようですが、私は昔から眼の色彩にはこだわらないんです。ただ、眼の表情といったものは大事にしていますよ。いわゆる眼のひらめきとでも言いますかね。でも、それじゃあどうして眼のひらめきを見分けているかという事になれば、まだ理論的にうまく説明できないんです。自分なりの勘を持ってる訳ですね。

目の色についてどのように解釈するかについては、ここでは触れませんが、ここではっきりしていることは、岩田孝七は、目の理論として「目の構造」や「目の表情」を重要な選鳩の基準にしているということです。そのほかにも、この「私の選鳩眼 岩田孝七氏の場合」では、血統・表情・骨格バランス・筋肉といった観点で貴重な発言が続いています。では、全文を掲載しますね。

 『私の選鳩眼 岩田孝七氏の場合』 PD誌77年6月号より全文引用  イレブン  2019年11月16日(土) 3:31 修正
□□□□□□□□□□□□□□□

本シリーズ第2弾に御登楊いただいたのは、長年の努力の末、遂に世界的レベルの日本の名系”岩田系”を確立された岩田孝七氏。豊かな経験と知識に基づいた、氏独自の鳩の見方を分かりやすく語っていただいた。

□□□□□□□□□□□□□□□

 ■■■ 種鳩にはレース距離に合った血統を ■■■  イレブン  2019年11月16日(土) 3:34 修正
□本誌□まず最初に、種鳩についてお伺いしたいと思うんですが、岩田さんか種鳩を導入なさる時の最大ポイントという事からお話し願えますか。
■岩田■そうですねえ、あまりにも大きな御質間で、なかなか一ロには言いにくいんですか。要は、目分の狙いにしているレースに希望通りの結果が出せるような、そんな鳩を選ぶという言うことじゃないですかね。そのためにはどうすればいいかとなってくると、勿論そこからいろいろな問題が生じてくると思いますがね。
 一概に、狙うレースといっても各人様々ですね。最近特に関心が高まってきた中距離スピードレースで好成績を収めたいと思う人もあるでしょうし、1000キロだとか1000何百kmだとかの長距曜を成功させたいと思う人もあるでしょう。その楊合、中距離を狙うなら中距離に向いている鳩を、長距離を狙うなら長距離に向いている鳩を選ぶ必要かある訳です。その他に、まぁおいおい日本もそういう方向に進むかもしれませんが、外国なんかの場合、短距離を狙う時の鳩の選び方も問題になってきますよね。鳩によってそれぞれ得意とする距離かある訳です。
□本誌□それは血統によるものですか?
■岩田■そうすね。血統によりますね。勿論、短距離も長距離も総てに良い成績を収める血統なんてのかあれば、それにこしたことはないんですが、やっぱりその血統、血統によって、得意とする距離がある程度限定されるようですね。
 時には、長距離に強い血統の中に突然ご短距離に強い個体が出る事もありますよ。しかし、大きな流れとしてやはり、長に強い、短に強いというものかあるんです。ですからレース距駆に関して目標を絞る必要がゐるだろうという事です。
□本誌□鳩舎ごとに、この鳩舎の鳩は長距離に強いとかいったようにしては選べないのでしようか。
■岩田■それは非常に危険ですね。1つの鳩舎の中にはいろいろな血統の鳩かいますから、この鳩舎は長に強いとか短に強いとかは一概に言えない訳ですよ。
□本誌□そうすれば。まず最初に血統を選ばれるという事になりますね。
■岩田■ええ、種鳩導入の際にはまず血統を調べます。
□本誌□で、その血耗に関する事ももあるんですか、例えばある鳩がパッと突然に総合優勝したりしますよね。そんな場合、その鳩自体に優秀性があるのだから、なんとかそれをうまく使っていけばいいと言う人もいますが。
■岩田■翔歴という事ですね。一発勝負だけではどうも………。十分な信頼性があるとは。言えませんから。しかしその1羽か数回の好記録を持っているとすれば、それを基礎に作出していって良い鳩か出る可能性というのは勿論あります。それでも、私の場合、1羽だけの傑出ではやはり不安ですし、物足りないのです。その鳩だけしゃなくって、一族全体か優秀な翔歴を持っているって方か望ましいと思うんです

 □骨格バランスと筋肉□  イレブン  2019年11月16日(土) 3:37 修正
□本誌□それから、レース鳩は頭が良くなければいけないと言われていますか、岩田きんはそういった鳩の頭脳とか体型とかを、どういうふうに御覧になりますか。
■岩田■今中し上げておりましたように、ます血統で大枠を見ます。それから体型という事になりますね。いくら血統が良くても、体型が良くなければスピードを期待できません。体型も鳩の優劣を見定める上で、必要不可欠なものです。
□本誌□大柄な鳩と小柄な鳩と、どちらか良いんでしょうか。
■岩田■体型に関しては、骨格バランスとか筋肉などが一番大事なもので、体の大中小はあまり関係ないと思いますね。まぁ強いて言えば、長距離にはさして大きくない。中型から小型の鳩の方かいいようですし、中・短距離には、大きくても小さくてもどちらでもいいようです。但し、これはあくまでも私の経験からの話ですよ。
□本誌□なるほど。それでは次に体つきですが、柔と剛、どちらがいいんでしょぅか。
■岩田■そうですねえ、柔らかいとか固いとか言いましても、基準をどういうところに置くかはっきりしませんしね。まあしっかりした骨にしっかりした肉がついている鳩が望ましいとでも表現するしか方法がないんじゃないですか。
□本誌□もし、体型を各部ごとに採点なさるとしたら、羽根、骨格、眼、筋肉、表情、この五つの頂目を何点ずつぐらいの割合で重要視なさいますか。
■岩田■まあ体型の中で一番重要視するのは、先程も申しましたように、骨格のバランスと筋肉だろうと思いますね。その他の羽根とか首とか足、眼などは、いわゆる従のもの。二次的なものだと思います。まずは鳩体ですね。
□本誌□それは。どういう状態がいいんでしょうか。
■岩田■ウーン、なかなか口では言いにくいですねえ。まあバランスの取れた骨格、バランスの取れた筋肉という事なんですが、俗に手持ちがいい鳩なんてふうに表現されますよね。このバランスという事に関しては、愛鳩家の間でもいろいろ細かく議論されてるんじゃないですか。一口に言うのは難かしい問題ですね。
□本誌□スタンスという事もあるんでしょうか。
■岩田■ええ、スタンスにもそれは現われてきます。結局バランスですから。
□本誌□バランスの良い鳩を御覧になった時、どういう印象を受けられますか。
■岩田■そうですね、バランスの悪い鳩でしたら、これは大した期待はできないなという事はすぐにわかりますよね。しかし、今は種鳩の話ですから、素質の良い系統のものでありさえすれば、たとえバランスが少々悪くても、修正してスピードを上げるという事は可能です。昔はこの考え方が多かったですね。良い因子さえ持っていれば、体型の方は修正すればいいというね。でも今はなんでもかんでもスピード時代でしょう。体型にを修正するなんてのは手間も時間もかかる事ですから、そんな面倒な事はせずに、一発で良い鳩ができる方法じゃないととても時代について行けません。だから種鳩の場合でも、良い因子を持っていてしかも体型の良い鳩を選ぶって事が必要なんですね。

 □ 表情−眼、口もと □  イレブン  2019年11月16日(土) 3:39 修正
■岩田■それから先程、表情を軽視するような言い方をしましたが、しかしこれは決して無視できなるものじゃあないんです。一口に良い血統と言っても、その中には優秀な鳩もいれば駄鳩もいるでしょう。そこから最優秀なものを選び出そうとする時には、ボディバランスとそれからもう1つ、表情の良さっていうものを私の場合、大きな要素として選び出す訳です。
□本誌□表情は。どうやってつかまれるのですか。
■岩田■そうですねえ、輝きというか、ひらめきというか。まあ要するに知性のある健康そうな表情がいいですね。それは、長年の経験による勘で判断するんです。でも、血統ごとにそれぞれ良い表情っていうのが異なりますからね、今言いました、知性的で健康そうなという一般論プラス血統による差を考えなきゃいけません。1つの血統の中で、表情に関して良い鳩を選び出すには。まずその血統の代表鳩に近い表情のものを見つける事ですね。表情が似ていると、成績も近いものを出せる可能性があるとも言えますからね。
□本誌□眼については、いかがですか。
■岩田■ええ、よく議論されている問題のようですが、私は昔から眼の色彩にはこだわらないんです。ただ、眼の表情といったものは大事にしていますよ。いわゆる眼のひらめきとでも言いますかね。でも、それしゃあどうして眼のひらめきを見分けているかという事になれば、まだ理論的にうまく説明できないんです。自分なりの勘を持ってる訳ですね。
□本誌□眼の位置とか。眼ぶちなども関係してくるんでしょうか。
■岩田■関係ないとは言えないかもしれませんね。それから、私か今言っている表情というのは、要するに首から上全体の事ですから、眼が主体ではあるけれども、その他に口もとがあり、鼻コブがあり、頭の形もあるでしょう。私はね、眼は勿論ですが、口もとも案外関係してくるんしゃないかと思うんですよ。口もとと眼でもって、利口そうだという印象を受ける鳩もいれば、その反対に、どことなくボンヤリしている鳩もいる訳です。眼に輝きがなくって、口もとに締まりのない鳩っていうのはまず駄目ですね。人間の表情と同じようなものじゃないですか。
□本誌□口もとっていうのは初めてお聞きしましたね。
■岩田■ええ、ええ、でも、これだって具体的な分析は、なかなかできないんですよ。
 それともう一つ、眼の構造も、鳩の能力判定をする上で。相当大きな要素になるんしゃないですかね。眼の中に構造から、その鳩の知能がわかる………という事かなあ。しかし実際のところ。この辺からは私自身もよくわからなくて、勘ですよ。今後の研究課題ですね。まあ表情に関して、こういうのがいいとか悪いとか、いろいろ言われてるんですけど、それじゃどうしてそれがいいのかって聞かれると、大低の人はちょっと困ってしまうでしょう。
□本誌□それじゃ、鳩の頭脳は眼と口もとで見るという事ですね。
■岩田■そう言い切る事はできないと思いますが、確かに、眼と口もとから受ける印象は。かなり大きいですね。しかし、ここで付け加えておかねばならないのは、今まで私か申し上げてきた事かそのまま断定できるのかどうかという点については自信がないって事ですよ。これは私なりの考え方であって、勿論自分ではそれでいいと思ってやってきた訳ですけど。反論する方も随分いらっしゃると思いますよ。

 □導入成功率7,8割□  イレブン  2019年11月16日(土) 3:59 修正
□本誌□そうすると今までの所を総合すると、種鳩を導入する場合、まず机の上で血統書や翔歴などを調べて、次に実際に鳩にあたって。ボディバランスや表情などを見るという事ですね。
■岩田■そうです。しかし、いざ個体にあたった時には、もう既に血統書よりも実際の個体の方を大切にすべきですね。例えば、自分の目で見て、直仔よりも孫の方か良い鳩だと判断すれば、孫の方を選ぶべきです。個体の選定というのがやはり一番大事ですから……。
□本誌□種鳩導入でミスをしたという話を時々耳にしますか、それはどういう原因で起こるんでしょうか。
■岩田■こうやって慎重に選んでも、当たる確率は7、8割。あとの2,3割はどうしてもはずれてしまうんですね。それと、本当に素質のある鳩でも。配合によっては、うまくその実力を発揮しかねる場合もあります。この鳩とこの鳩を配合すれば100%成功するなんて決め手はない訳です。実験を重ねるしかないのです。ここが種鳩導入の際の弱点でしょうね。

 □選手鳩、調子の見方とマークの仕方□  イレブン  2019年11月16日(土) 4:13 修正
□本誌□次は選手鳩に移りますが、まずコンディションの見方についてお話し願えますか。
■岩田■これはやはり。種鳩の選定と同じような事につながると思いますね。ボディの仕上がり具合をか。それと、コンディションを一番良く表わしているのは、表情と羽毛の艶じゃないですか。脂粉がのってる事、毛に艶がある事、表情が輝いている事、この三つですね。
□本誌□内臓はどうでしょう。
■岩田■私には内臓の事はわかりませんねえ。判定する自信はありません。ただね、内臓の良し悪しは、今言った、脂粉だとか三つの事に表われていると見るより仕方ないですね。
□本誌□鳩を手に持って、呼吸をみるという人もいらっしゃいますか………。
■岩田■私は自信かないですね。と言うのは、神経質な鳩ななら、人間に掴まれただけで動悸か激しくなるでしょうし。普段、人間と密に接しない飼い方をしている場合は尚更でしょうし、判断しにくい問題ですよ。
□本誌□それでは、レースに使われる時、その鳩の性格なども考慮なさいますか。
■岩田■私自身の好みから言えば、キリッとした鳩の方が好きなんですがね。しかし必すしも、キリッとした鳩か良い成績を上げて、おっとりした鳩はあまり成績がふるわないとは限りませんよ。むしろ。鳩舎内でいつもソワソワしている鳩よりも。静かな鳩の方が、安定した成績を収めているようですし、要は、鋭さがあって。しかも落ち着きのある鳩が一番いいんですよね。
□本誌□鳩が自分でコントロールできるんでしょうか。
■岩田■ええ、普通の管理状態でもって。最良のコンディションを保てる鳩というのは勿論います。しかし、どんなに良い鳩でも。運動を全然させなかったり、脂防分の多い飼ばかり与えていたのでは。たちまちのうぢにコンディションを崩してしまいますよね。まあ鳩の良さを伸ばすも潰すも、飼育者の管理次第と言えるんしゃないですか。
□本誌□次に、マークの仕方について………。
■岩田■私達、東海地方ではマーク制度か比較的少ないですからね。あまり自信がないというのが正道なところです。まあしかし、先程のコンディションに加えて、レース当日の選手鳩の家庭環境といったようなものも大きく影響してくるでしょうね。家庭環境っていうのは、抱卵中か。配合したばかりか。巣房がどういう状態にあるかというような事なんですか。それじゃあどんな家庭環境か良いかとなると、それぞれの鳩によって異なるんですよ。ですから、個々の鳩の癖を見極めておく事が必要でしょうね。
□本誌□今年初めてレースに参加する鳩をマークする場合はどうでしょう。
■岩田■それは血統でみるしかないでしょうね。血統によっていろいろな癖がありますからね。距離に合わせた血統を選ぶ事です。それと、Wシステムに向く血統もあれば、卵を抱いた時かいいとか、卵の無い方がいいとかも血統によって異なりますから知っておいた方がいいでしょう。そしてあとは。個々の健康状態ですね。まあ私自身まだまだ勉強不足で、この前、ローセンス氏が来日された時にいろいろ質問させていただいたんですがね。これからは。日本でもマーク鳩制が盛んになってくるでしょうし、もっと研究せねばと思っているんですよ。
□本誌□なるほど。まだお伺いしたい事はたくさんあるのですが、紙面の都合もありますし、この辺で終わらせていただきたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。
(以上)

 【岩田系大研究:岩田孝七の鳩理論研究@】「岩田孝七氏が考えていること、実行していること」平野金作  イレブン  2019年11月15日(金) 4:41
修正
掲示板の内容もやっと「岩田系大研究」に戻ってきました。これからもあちこち話題が飛びながらも、この研究を進めていきたいと思っています。さて、これから、しばらく、岩田孝七に焦点を当てて研究を進めて行きます。

岩田孝七は1984年5月に68才の若さで没しています。没後35年経った今、岩田孝七の鳩理論を読み返すと改めて多くのことをそこから学ぶ事が出来るように感じます。残されている資料を可能な限り掲載したいと思います。

まず最初は、『愛鳩の友』誌1967年6月号に掲載された「岩田孝七氏が考えていること、実行していること」です。この年、岩田孝七鳩舎は全国優秀鳩舎賞(愛鳩の友社主催)に選ばれています。この頃は既に岩田系が全国を席巻する勢いで活躍していました。そこで、当時を代表する理論家平野金作が岩田孝七鳩舎に訪問してインタビューして書いた記事です。岩田孝七の鳩理論の研究は、まずこの平野金作のルポルタージュ記事から取りかかります。

 ■■岩田孝七氏が考えていること、実行していること■■  平野金作 (『愛鳩の友』誌1967年6月号より引用)  イレブン  2019年11月15日(金) 5:15 修正
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 名古屋というと、一般の人大はすぐ″金のシャチホコ”と加藤清正のことを思い浮べるが、鳩界人は名古屋城ではなくて。岩田鳩舎が所在する町ということのほうが先に頭に浮ぶくらい、岩田鳩舎の名は全国の愛鳩家の間で知られている。
 また、岩田氏自身、いつも初心者たるの気持を忘れず、自分の経険をいかしてつねに内外の新しい知識と方法をとり入れ、競翔面においてもつねに鳩界のトップに立ち、新記録を樹立している。
 ところで、われわれがつね日ごろ尊敬している岩田鳩舎は、どのようにして鳩を作り、また、飛ばしているのだろうか?
 わたしをはじめ、鳩界人の多くがその真相を知りたがっているのではないだろうか……。
 鳩歴30年のベテラン岩田氏は鳩に関してどのような考をもっており、また実践しているか――をこの椴会にさぐってみることにした。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 □□ つねにパイオニアの精神で □□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:16 修正
■平野■ 岩田さんは、鳩の世界に入ってからかれこれ30年になるそうですが、そのように一つの趣味を長く続けてこられたということは、そこに、何かを求めようとしたからだと思うんですが……。
■岩田■ わたしは、生来動物か好きで、これまでにもいろいろな動物を飼ってきました。小学校のころは二十日ネズミを飼ったこともありましたよ。しかしただ飼っているだけではおもしろ味がないんで。そのころ二十日ネズミには茶ブチと黒プチはいましたが。三毛がいなかったものですから。どうにかして三毛の二十日ネズミを作ろうと思っていろいろやってみたところ、一年かかってやっと三毛の二十日ネズミが生まれ、うれしくて、うれしくて母に見せたところが、母親からたいへん叱られたことを今でもおぼえています。
 このように、わたしはこどものころから、何か新しいもの、人にできないものを作ってやろうという気持が旺盛だったようですね。
■平野■なるほど。そこで岩田さんは二十日ネズミのときと同じように、鳩を飼うにしても、他人にできないようなものを作ってやろうと30年間、アッという間に過ぎてしまったということですか。
■岩田■そういえば、そうかも知れませんね。たしかにそういう意欲はつねにもっていましたね。しかし、現在自分は進んでいるのか、遅れているのか……なかなか思うような鳩はできませんね。それともう一つは、鳩仲間とのつきおいですね。これは、鳩を飼っている人全部に共通することですが、鳩の話をしているときは実に楽しいもんですよね……。
■平野■こんど、岩田さんの鳩舎が全日本敢闘鳩舎に選ばれましたが、こういう催についてどういうお考をしていまか。
■岩田■これは、協会でやるのとは違って、愛鳩の友杜さんのカラーでやられることですから、自然その年のいろいろな特色がでてよいと思いますよ。また、わたし自身、敢闘鳩舎に推選されて恐縮に思っているところです。ただ欲をいうならば、関東だけの審査員だけではなく関西からも出してもらえるとよいと思いますね。

 □ レースばかりでなく慈善事業にも □  イレブン  2019年11月15日(金) 5:17 修正
■平野■ 最近は、各地で鳩飼育が盛んになってきましたか。こうした現状については?また、今後どのような方向にいったらよいと思っていますか。
■岩田■たしかに平野さんがいわれるように、最近は鳩を飼うことが盛んになってきましたね。これには、いろいろな原因もあるんでしょうが、将来の問題になると、まだまだ発展すると思いますね。しかし、あまり調子に乗りすぎると、社会的に関心がたかまってそれに対してなんらかの批判がうまれないとも限りませんね。外国のように、町中で鳩を飼ってはいけないというように日本もなってしまってはたいへんなんで、早いうちに、なんらかの形で手を打っておかなければいけないんじゃないかと思います。
 先だって名古屋で協会の総会があったときに、わたしは、賞金レースも結構だが、慈善事業をやって社会の人に印象づけておいたほうがよいのではないか、と小野会長に話たんですが、さっそく協会でもこのわたしの案をとりあげてくれたんで、喜んでいますよ。
 また、レース面についていうならば、わたし自身2、3年前までは1000粁。1000粁といっていたんですが、鳩界の発展とレース面をおもしろいものにして大勢の愛鳩家が楽めるようにしたいと思うと、もっともっと中・短距離レースを盛んにする必要があると思いますね。
 これも、愛鳩の友社の社長さんに話たことがあるんですが、やはり賛成してもらえ、次のプリンスレースは中距離レースに切りかえるようですが、これからも、中・短距離レースをはなやかなものにしていきたいと思いますね。これが実行されますと、将来は、短距離の専門家。中距離の専門家。長距離の専門家というようにわかれていくんじやないかと思いますね。
 また、協会や雑誌社関係がその方向に進んで協力してもらえると、各部の専門家も喜んでレースができるようになると思います。
 それと、鳩は、あくまでも趣味で、楽しみということを忘れないようにしなければいけないと思いますね。その楽しみがへんな方向に向ってしまい、鳩のレースではなく、人間のためのレースみたいになってしまわないように願いたいですね……。

 □鳩仲間はみな友だちだ□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:18 修正
■平野■いま、岩田さんが鳩の関係で一番したしくしているかたは、どなたですか?もしもおさしつかいなかったら……。
■岩田■わたしも鳩を飼い出してから長いものですから、したしくしているかたはたくさんおりますが、ご存知のように、鳩飼い同士は、きょうこうして平野さんとおめにかかってしたしくなっていくように、まったくすぐ友だちになれちまうんですね。だから、鳩を飼っているかたとはみな友だちですよ。(笑)

□つねに謙虚な立場で教えを乞う□
■平野■競翔面において。日本で岩田さんの参考になるような飛ばし方をしているかたはありますか。
■岩田■つまり、平野さんのいうのは競翔の技術のことですね。たくさんあると思いますよ。 若いかたで、つねに強いかたはわたしなど考えつかないことをどしどし実行していますよ。やはりよいことは謙虚な気持で間くことですね。 以前は、わたしも、東京で1000粁帰ってきた鳩舎かあると訪問して鳩を見せてもらい、参考にしたものですよ。
■平野■外国に行かれて、一番参考になったこと、また一番関心をもったことはなんですか?
■岩田■63年に行ったときは、Wシステムを研究して自分も実行してみたいと思っていましたのでWシステムの方法をじっくり勉強してきましたが、65年にアメリカに行ったときは、ニューヨークでアカルデイ氏と逢ってアダムズ鳩舎の話を聞き、アダムズ鳩舎に非常に関心をもちましたね。その後、アダムズ鳩舎の鳩をいろいろテストしてみましたが、非常にいいですね。


 □鳩の見かたについて□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:20 修正
■平野■鳩を見るとき、どこにポイン卜を置いて見ますか?
■岩田■品評会でしたら、品評会の規定にあった鳩であればよいわけですが、レース鳩となると、近ごろは短・中・長距離とわかれていますので、自分の目的とする距離で成功している鳩舎があったとすると、どういうタイプの鳩が飛んでいるかをよくおぼえておいて自分のイメージや個性は出さないようにして、よく飛ぶ鳩のタイプを育てていくことですね。
■平野■そうすると、自分のイメージというものは一切入れてはいけないんですね。
■岩田■わたしは10年ほど前に鳩レース協会の機関誌に、自分の経験をもとにして。自分の方法を書いたことがありますが、そのとき書いた″能力第一主義″ということは終始一貫して現在でも変っていませんね。ですから、まず1000粁を帰したいと思ったら、打撃率よく帰る素質をもった鳩で、しかも子孫にその素質がうけつがれる鳩が第一条件になりますね。しかし、それかその鳩舎の主流の系統書の面だけでいくかというと、そうではないんで、たとえばそこの主流の鳩の系統が系統書の面で3/4入っているのと、また、片方の鳩は1/4しか入っていないのとその二羽の鳩を並べてみた場合、3/4の鳩よりも1/4の鳩の方があてはまっているというならぱ、わたしは1/4の鳩の方をとりますね。
 よく系統書だけを見て、純だからとか3/4だから血がこいというととがよくいわれますが、これは、系統書を数学的に見た場合でありて、本来の遺伝学的から見た場合は個々の個体の表現によって選ばなければいけないと思いますね。

(つづく)

 □苦労のすえ能力第一主義に□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:21 修正

■平野■現在の岩田さんが作った夕イプが完成されたものだというのではなく、これからまだまだ能力の改良いかんによってはタイプが変っていくものと思っていますか。
■岩田■そういうことですね。わたし自身の鳩にしても、戦前は、きれいな鳩、、シオyのような鳩で成功させようと思ったことも ありましたよ。色の好き嫌い、顔の好き嫌いもあれば、また休型の好き嫌いもあると思うんです。そうした苦労をさんざんかさねたし、また失敗もし。その結果到達しだのが、顔やかたもではなく能力か第一だということですね。人間の場合だって、非常に秀才だからといってその人が美男子だとはきまっていませんよね。
 休型をよくするということだけでしたらさほどむずかしいことではないと思いますよ。1、2度配合を変えればできることですから。しかし、脳ミソの方はそうは簡単に改良されませんよ。よく時間をかけて体型から改良していくかたがおりますが、それは、考え方が逆ではないかと思います。
 わたしも、最初のうちは休型から改良していこうとしてさんざん苦労した経験をもっていますが、苦労してみないとわかりませんよね。’
鳩の体型は自分で作るのでなく、飛ばして自然にできるものである。
■平野■そうすると、自分で体型を作るのではなく、飛ばしているうちに自然に飛ぶようにあてはまった体型が作り出されてくるということですか?
■岩田■ そういうことです。飛ばしてみて、実力のある鳩をもとにしていくということです。
■平野■鳩の容貌を見て、その鳩が長距離向きかどうかという判断はできるものでしょうか?よく一般ではいわれていますが……。
■岩田■ある程度のことはわかると思いますが、これはある一種の経験からえた感ですからね。ですから、あくまでも実績のあかっている血筋であるか、ないかをたしかめたほうが安全ですね。 体型を主体に作ったものであれば、どうしても能力のほうがるすになってしまうので、わたしは、あくまでも能力を主体にして、容姿は第二でやっています。
 あくまでも、能力中心主義でやっていくべきだと思います。
鳩の体型の良し悪しはキールの深さ、浅さでなく全体のバランスである
■平野■岩田さんは以前、小型の鳩がよいといっておられましたが、体力、および能力の点においては胸骨の深い鳩、浅い鳩についてどういうように考えていますか。
■岩田■キールの深い鳩は、短距離向き、浅い鳩は長距離向きというようなきめはないですね。どちらもけっこう飛んでいますよ。 しかし、どちらかというと、あまり深い鳩より、あまり浅すぎない限り浅い鳩のほうが、わたしはよいと思います。
 しかし、キールの深いガフソリした鳩でも、おもくなけれぱよいかも知れません。かのミニュエ号にしても、キールは浅く、軽い鳩で、おせじにもガヅシリした鳩とはいえません。大きい、小さいということと体力とは関係ないと思います。
■平野■一般に、よく長距離を飛ぶ鳩は非常に胸骨が長めのようですが……。
■岩田■鳩以外の烏の場合は別ですが、鳩に限って考えた場合、胸骨が深いとなれば、ほかの鳥類同様に翼が他の鳩より長いということ、そういうことがともなっているから、それはそれで結構なんですが、ところが鳩の翼には標準があるように、胸骨だけ深いとなると、スタミナがあるというよりも。マイナスの面が出てくるのではないかと思いますね。
 ようは、全休のバランスです。それと、先祖が大きいか小さいかということですが、その点は大きくても小さくても同じではないかと思います。よく、こんな小さい鳩で長距離大丈夫ですかということを聞かれますが、外国の例をとってみても、小型の鳩のほうか長距離系が多いのです。むしろ、中距離の系統に大型の鳩が多いですね。そういう実例もありますから、からだの大きさはさほど関係はないと思います。


 ・  イレブン  2019年11月15日(金) 5:21 修正
□年2シーズン作出することはムダである□

■平野■作出の時期についてお聞きしますが、普通、2シーズン仔鳩をとっていますが、岩田さんのところでは?
■岩田■巣引は春だけです。秋はこのところ10年ばかりというものはまったく巣引していません。理由としては、秋は換羽の時期であるということと、秋できた鳩は、来春使うことができませんね。つまり、秋仔よりもその年の春とった仔のほうが換羽の状態などからいって使いやすいのと、秋にはダービー・レースや宮杯レースなど若鳩レースが多く、こうなると秋仔の使いみちが非常に不利になってしまうし、管理もむずかしくなるし、親鳩は疲労するし。害あって益なしという見知から8月以降はかならず分離して。産卵させないようにしています。また、欧米の例をみましても、秋は巣引させていません。

□スランプの原因は鳩でなく人間にある□

■平野■普通、3年ないしは4年に1度ぐらいスラソプにおち入りますが、その対策としてなにかよい方法は?
■岩田■いかに優秀な鳩舎であっても、年々続けて10年というわけにはいかないもので、必らず波はありますね。その原因は2つあると思うんですよ。その1つは、飼育者自身がくたびれてくることと、もう1つは一生けん命やっていても行きづまりを感じた場合ですね。これは鳩が近親になりすぎたのかも知りませんか、その場合は異血導入することが絶対必要になってくるわけですね。まあ、一般的には飼育者に原因があるようですね。
■平野■岩田さんは、現在どのような鳩に、どのような鳩を配合していますか?
■岩田■わたしは能力本位で、長距離向きの鳩には長距離向きの鳩をつけるようにし、しかも自分の望む体型に出てくるような配合を考えています。わたしは、競翔家というより、作出することのほうが好きでしてね……。弟の方は飛ばす方が好きらしいですが。わたしは作出に興味があるので配合を決定するまでには3ヵ月くらい考えます。あらゆる角度から考え、あれとあれを配合したらどういう体型の鳩ができるだろうか。また、どういう能力の鳥が出るだろうか、どういう羽に出るだろうか―こういうことを極力推測するわけですが。いままでの経験ではほとんど思うようになっています。
■平野■現在、系統というと、本来の意味からはずれて使用されているように思いますが、岩田さんは自分の岩田系を作るに当って、どんなようにしていますか。
■岩田■自分の鳩が岩田系であるか、どうかということはわかりませんが、わたしは、あくまでも実績主義で、どんなに好きな鳩であっても帰ってこなかったり、へこたれるような鳩は涙をのんで巣引はやめてしまいます。その点、厳格な方針でやっています。外国の優秀な銘系統といわれているものでも、たえず異血を入れていますね。だから、少しでも他の血が入ると不純になったような潔癖な気持をもちすぎますと、変な方向にいうてしまいますね。しかし、そうかといってポンポン半分に割っていったら、これまた変な方向にいってしまうんで……ようするに、信頼している飛筋の血が淘汰によって代々受けつがれていけば。系統書の面でたとえ何分の1になったとしても、それは自分の飛筋系統といってもいいのではないですか。


 □訓練について□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:21 修正

■平野■自由舎外と強制舎外とではどちらが、よいと思いますか。
■岩田■どちらがいいかというと、わたしは、戦前は自由舎外だったんです。戦後は半強制舎外で、あまり強制はしていませんが鳩をすぐっていくようにしています。
■平野■昔は、ただ鳩が帰ってくればよい時代だったんですが、いまは早く帰ってこなければいけない勝負の時代ですが、その点は?
■岩田■長距離の場合でしたら自由舎外でもたいして関係ないと思いますが、ただ自由舎外ということをことぱどおりに受取って、ほったらかしということでは困るんですね。
 自由舎外には、自由舎外の訓練のしかたがあるわけで、放鳩訓練をともなった自由舎外、また、ある程度(1日2〜30分)強制する半自由舎外させるということで、自分の管理がその方法にあわないのに、朝から晩まで旗を振って、しまいにはくたびれて、したりしなかったりではなんにもなりませんね。ようは、自分の管理に一番あった方法でするのか長続きし、また成績もあがることになるのではないですか……。
■平野■岩田さんは、これまでに自由舎外、強制舎外をやってきて、現在はWシステムをやっているということですが、Wシステムか一番すぐれている方法だと思って始めたわけなんですか?
■岩田■ いや、そういうわけではありません。とにかく新しいこころみを一度してみたいという気持が長い開あったものですから、63年にヨーロッパに行ったとき、Wシステムの実体をじかに見てきて、1つ研究してみようかということからはじめたことで、この方法かよいと自信をもってかかったわけではないんです。それで、3、4年やってきた結果、あまり期待したようにはいかないので、実は、今年あたりからナチュナルシステムにきりかえようかと考えていたんですが、昨年1000粁と稚内1200粁でうまく帰ってきたのでもうすこし続けてみようかと思ってまだそのままでやっていますが、まだ完全にマスターしていないせいか、これはと期待している鳩が落ちてしまうこともありますね。
■平野■最近、青森県の浪岡地区でこのWシステムをやっていて、いい成績をあげている鳩舎がいくつかあるんですが……。
■岩田■そうですか。その年の天候。運、不運、また地区によってはコースの難点ということもありますが、ヨーロッパのように非常に平担な地形ですとよいですが、名古屋の場合は、西の800粁帰った鳩は、もう一度西の800粁をやってもまた帰る率が高いですが、長野県から裏日本へぬけるコースは。谷間がたくさんあるので記録鳩が実に、ばたばた落ちるんですね。そういう点で、Wシステムをやって3年間同じ鳩で1000粁5回というようなことは、ヨーロッパのようにはいきませんね。わたしの経験では、ナチュナルシステムのほうが優勝しやすいように思いますね。ヨーロッパにしても、ただ優勝したいだけの目的でWシステムを行なっているわけではなく、ご存知のように、。ベルギーの場合、優勝しなくてもたとえば100羽だったら10分の1の10羽以内に入っていれば、1位でも10位でも同じ貢金なんです。日本の場合は、やたら早く帰ってくるのがWシステムだとうのみにして、興味半分に思われているようですね。ベルギーのように。プロ競翔家の多いところではつねに多額の賞金か用意されているレースがありますが、そのためには、Wシステムが一番適しているでしょうね。
■平野■ジャンプのことですが、若鳩の場合だったら、また成鳩の場合だったら、どのくらいまでのジャンプが可能だと思いますか。
■岩田■まず若鳩の場合を申しあげますと、100粁帰ったら次は200粁というように、倍々というところじゃないですか。また記録鳩の場合は200粁から800粁とか、相当のジャンプをやってもかなりよい結果か生れますが、これはあくまでも自分の鳩のコンデションを見てのことで、まず最高クラスの鳩についていえることであって、普通はあまり無理なジャンプはよしたほうが無難ですね。
■平野■ 岩田さんは、戦前は在来系を使っていましたが、戦後は輪入鳩一本やりのようですが、どんな理由からですか。
■岩田■最初のうちは手近かなところからということで、在来を手がけるかたが多いんじゃないですか。やっているうちに、新しいものをやってみたくなるんじやないですか。どちらがよいというのではなしに、戦後再飼育するにあたって、新しいものでヒットしてみたいという気持があったので、外国の実績鳩を入れたんです。しかし、現在の日本の鳩界レベルは在来鳩にしろ、輪入鳩にしろ、とにかく淘汰、研究されているのでレベルがあがってきていますね。もう少したったら、欧米の上にいくのじやないですか……。
■平野■種鳩を導入、または選定する場合、どんな条件をつけていますか。
■岩田■自分の鳩から選ぶ場合となると、記録鳩の直仔のなかから自分の飛筋をよくあらわしている鳩を巣引に使います。わたしは昔から雌に重点をおく傾向があるものですから、雌を選ぶ場合、その記録鳩に顔がよく似た鳩、また目の印象で……「目は心の窓」というくらいですから・・・外国の鳩を選ぶ場合ですと、なかなかわかりにくいので優秀な鳩を見せてもらって、飼育者の意見を聞きながら自分で選びますね。


 □岩田系の主流は4665、777、619の血を引く鳩である□  イレブン  2019年11月15日(金) 5:21 修正
■平野■岩田さんか、これから重点的に巣引していこうとしているおもな系統はなんですか。
■岩田■うちでは、4665、777、619の三羽の子孫の記録か一番安心できるみたいですね。それに、外国で非常に優秀な成績をあげたものをまぜて。その結果をみてよければやる。悪ければやめるということで、できた鳩は若鳩でかならずとことんまで飛ばしてしまい、これでよいとわかったときからは大切にします。
■平野■いろいろ有益なお話をありがとうございました。
 この記事を読まれる全国の競翔家の皆さまにも非常に参考になることでしょう。
           (おわり)

 2019年撮影の季節  イレブン  2019年11月14日(木) 21:36
修正

 ・  イレブン  2019年11月15日(金) 4:17 修正

 【岩田系研究資料】太田誠彦Pigeon Culture  連載最終回 『 ◆ 銘血はラベルを変えて ◆』  イレブン  2019年11月14日(木) 4:59
修正
太田誠彦が「愛鳩の友」誌で連載執筆した「Pigeon Culture」の最終回(1998年8月号)の内容は「銘血はラベルを変えて」とのタイトルで岩田系を考察した論考でした。

イレブンはこの太田誠彦の「銘血はラベルを変えて」は、先に掲示板に「岩田系研究資料」として掲載した並河靖の特別講演「交配に関する考え方」に並ぶ岩田系研究の重要文献と考えています。驚異的な飛び筋としての岩田系の誕生が意味するもを何か。太田誠彦はそのことを端的に「銘血はラベルを変えて」と論考のタイトルにしています。イレブンは、この捉え方は他の全ての銘系誕生に通じる考え方のように思っています。太田誠彦はこの論考で『レース鳩にとってまず重要なのは優秀な“血液”であり、厳しく実績が支配する世界で生き続けることができるのは文字通り「名血」だけなのです』と名血の重要性を述べていますが、この指摘は、20年経った今も変わらない考え方だと言えます。では、一部抜粋して引用します。

 ◆ 銘血はラベルを変えて ◆ 太田誠彦  イレブン  2019年11月14日(木) 5:03 修正
岩田輸入系が16羽の基礎鳩をもってスタートし、日本の鳩界に確固たる地位を築くまでを前編で触れました。1953年に岩田考七氏が米英より持ち帰ったアカルディー、J・L・オペル、ブリクー、シオン、スタッサール、エドモンドソンのバーカー、アイザクソン、などの血統が今日の岩田系の源となったのです。特に、米国から輸入したアカルディー、オペリ、シオン、英国からもたらされたバーカー系は岩田系確立の大きな柱となりました。千キロの克服に血道をあげていた50年代後半に岩田系は颯爽とデビューし、今日まで約
40年間、日本鳩界をリードし続けているのです。

岩田系は基本的に長距離血統であり、確立者である岩田考七、岩田誠三兄弟鳩舎にとどまることなく全国の愛鳩家に迎えられ、多くの成功を収めました。日本を離れ中華民国などのアジアの愛鳩家にも親しまれました。空間的な広がりと実績の多様性において、ヨーロッパの名血統に勝るとも劣らないものと私は認定しています。岩田系は本稿『ピジョン・カルチャー』の最終稿を飾るにふさわしい世界に誇ることのできる日本を代表する名血統なのです。

考七氏が導入した16羽の基礎鳩から偶然に名系が誕生したわけではありません。岩田系40年の歴史かの中から今日私たちは、多くのことを学ぶことができるのです。

「777×619」、有名な岩田系のゴールデン・カップルです。雌の619は3622や669とともにアメリカから導入された5羽のオペル作の中の1羽です。オペルはボルチモアにおいて、500マイルや600マイルなどのレースで優秀な成績を上げた長距離フライターでした。英国のJ-W-ローガン系を基礎に近親交配を重ね、固定された血統として位置づけられていました。

ローガンはコリン-オスマンと同じように近代レース鳩の黎明期(19世紀末葉〜20世紀初頭)にたびたびベルギーに赴き、お金に糸目をつけることなく当時のチャンピオンや名血ばかりを英国に持ち帰ったのです。ベルギーの名血を自身の鳩舎で繁殖し、1930年代に一時代を築いたのです。

有名な栗の雌鳩、1826号によるサンセバスチャンの優勝は1933年のことでした。ベルギーの名血は、“ローガン系”としてイギリスで成功をおさめ。新大陸アメリカに渡って“オペル系”して開花します。さらに考七氏によって日本にもたらされ、岩田系の構成血統の一つとなるのです。

 □ 実績が支配する世界  イレブン  2019年11月14日(木) 5:04 修正







































ヨーロッパに誕生した血統がイギリスに渡り、アメリカを経由してもたらされた例はシオン系にも当てはまります。

近代レース鳩の誕生に貢献したカール・ウェッヘの鳩がフランスのポール・シオンの許でまず開花します。アメリカのチャールズ・ハイツマンがポール・シオン自身やイギリスのドクター・アンダーソンから導入した鳩の直系が日本鳩界に登場しました。

戦前、大先輩の関口龍雄氏、並河靖氏とともに考七氏も導入し、それぞれ大成功を収めたことは前編で触れました。16羽の基礎の1羽、アカルディ−からもたらされた栗の504688もハイツマン作のアンダーソン・シオンでした。

近親固定された血統であるという点では、エドモンドソンのバーカー系も例外ではありません。ノーススロップ・バーカーもローガンも同時代の英国人ですがベルギーに帰化し強豪として名を成したのです。ローガン、そして後輩のオスマンがベルギーから導入する鳩のエージェントを務めたのが主にバーカーでした。彼自身もベルギーの名血を近親固定し、実績のある鳩を母国に送りだしました。後年ローガンはバーカーの鳩を全鳩引き取ることになります。この事実からバーカー系はローガン系の確立に多大な影響を及ぼしたのです。ここにまた、“ラベル”を変えながら連綿と受け継がれるバーカー、ローガン、オペルという名血の図式が浮かび上がってくるのです。

この時代バーカー系はローガンと同じ英国のE・ジャクソンという愛鳩家にも多く流れました。軍人であったジャクソンの許でロフトマネージャーを務めていたのがエドモンドソンだったのです。有名な4665など考七氏が導入した4羽のバーカー系の基礎鳩は、このエドモンドソンの作出になる鳩でした。

このようにベルギーの由緒正しい銘血のライン上にあるオペル、シオン、バーカー系などを基礎にした岩田系の成功は、本稿で論述してきた現代ベルギーの名門鳩舎と同様に、必然だったといっていいのです。
レース鳩にとってまず重要なのは優秀な“血液”であり、厳しく実績が支配する世界で生き続けることができるのは文字通り「名血」だけなのです。
(愛鳩の友誌、1998年8月号P70より引用)


 【岩田系研究資料】並河靖特別講演『交配に関する考え方』  イレブン  2019年11月12日(火) 2:23
修正
この並河靖特別講演の資料は、チヤンピオン誌1987年9月号、10月号に掲載されていました。この特別講演会は、1987年7月26日、仙台市青年会館にて『交配に関する考え方』という演題で開催され、当時の多くの地元愛鳩家が参加されています。

イレブンがこの特別講演を取り上げた理由は、並河靖がこの講演で岩田系の形成における基礎鳩の系統構成に対する考察をかなり詳しく述べているからです。
 
 岩田系については、数多くの記事が存在していますが、系統研究の観点からきちんと考察が加えられている論評はそう多くありません。我が国屈指の大巨匠にたいして、存命中にきちんと論考を残しているのは、イレブンが知るところでは、並河靖と大田誠彦の二人だけです。両氏とも日本を代表する系統研究の双頭ともいえる方です。しかし、多くの論文を書く残している並河靖ですが、岩田系についてキチンと考察を述べた記録はあまりないようです。後半では、ローセンスについても述べており、掲示板の最近の話題にもつながってくるので、面白く読めるのではないかと思っています。では「岩田系研究資料」として全文引用しますね。

 ◆◆◆ 並河靖特別講演:1987年7月26日 ◆◆◆  イレブン  2019年11月12日(火) 5:46 修正
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 日本レース鳩流通センター主催で京都の並河靖氏を講師として招聘、去る7月26日日曜日、記念講演会を開催した。当日は、同地区の多数の会員が集まり、講演に熱心に耳を傾けた。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 ・  イレブン  2019年11月12日(火) 5:46 修正
 皆さんは、何か一番お聞きになりたいかということを考えてみると、やはり勝つ為には、どういう鳩を作るかということだと思います。
 私は現在73才で10才の時から63年間鵠を飼ってまいりましたが、私も自分か作った鳩で難しいレースに勝ちたい、記録を作りたいど思ってきた訳です。
 そして過去を振り返ってみますと、私も子イ共の頃からどうすれば良い鳩が出来るだろうかと、色々と考えて作出してきたんですが、動物の繁殖に関することで、参考資料となるものは殆ど無いんですね。動物の遺伝学を読んでみましても、メンデルの法則以上のことは特に有りません。
 ところが戦前、殊に昭和1桁の時代に「ニワトリの研究」という雑誌が有りまして、それを読んでみますと、その当時ちゃんとした大きな卵を1年に365個産めるトリの血統を作ろうではないかと、農林省が推薦して、その先駆けの研究をおやりになったのが、ご当地仙台の岩屋さんという飼鶏場の方でした。
 それから青森の県立の飼鶏場の方も、なかなか成績が良くて、要するに東北地方の鳥類の繁殖に関する研究は、非常に早くから熱心にやっておられた先輩がいらっしゃったようです。
 その方々の書かれたものを読んだり、色々とお話を伺ったりしますと、結局良い鳥を作る為に、良い鳥の条件といものを色々と考えて、それを積み重ねちょうど寄木細工のように、自分の目的に対する全ての望ましい条件を積み重ねていくことが、理想的な鳥を作ることになるんだ、という結論でした。
 例えば鶏の場合ですと、結局連産性という何日間ずっと卵を産むかというその持続吐の条件、それから/坤Rでなしに大きな卵であるという条件とか、色々ある訳です。
 その中で参考になることは、東京の保谷市に浦上さんという鶏の繁殖者がおられまして、その方の考えとしては、良い鶏が出来たら、その血統とは別な異血統を持ってきて交配し。その1/2になったのを元の源血統に戻して、その本流を続けていく。純系では有りませんが、それを自分の血統として持っていたらいいんだという見解が出ていました。これはひとつの本になって出されています。
 この浦上さん式の繁殖法というのは、理論的にはちょっと問題が有りますが、何故そういうことを言うかと言いますと、純系の交配を続けていきますと必ず退化が起こる訳です。恐いことは虚弱化で体質が弱くなってしまう。酷い場合には致死因子と言いまして、孵化しないとかヒナが育たない。それから奇形が出る、というようなマイナス面が一杯出て参ります。
 ですから近親交配がいけないと、昔から言われている訳で、人間の場合でも勿論そうです。人間の場合は淘汰が出来ませんから、近親結婚は法律で禁じられています。
 私の医者の立場から見てみますと、現実に従兄妹同士で結婚された子供さんというのは弱いです。病気にも罹り易いし治り難い、体質的な弱さを持っています。
 鳩でも当然そういう気がしています。だから近親交配というのは、非常に難しいということになります。ところがこれはレース鳩にも書いておいたことですが、例えば医者が使っている色々な実験動物の世界を見てみますと、アメリカで近親交配を繰り返し行って、現在の実験動物が出来ています。
 兎、モルモット、白ネズミなんかですね。それはベースになる交配の数が、非常に沢山の組み合わせを作って、その中からやっとひとつかふたっが残って、やっと今日まで至っている訳です。
 例えば二十日ネズミですと、1腹で5匹位の子供が出来ますね。5匹出来たら、その♂と♀を交配して、その次の世代を作る。で、それが今度は親になって、すぐ発情してから子供を産みますね。それで6匹産まれたら、その6匹の♂と♀を交配して、その次の代を作る。それをずっと続けて、百何十世代ともなる。そういうことをアメリカで成功したものだから、日本でもやってやれ、ということで私の友人の細菌学の教授をやっておった
上坂君というのが、日本の二十日ネズミを使ってやてみた。ところが彼がやったのは20数組のペアで、その20数組のペアから何世代残ったかと言いますと、10代位しか生きて残らないんです。それ以上の世代は皆繁殖出来ないので、この近親交配というのは、全然成功せずに全滅してしまったんです。
 ところがアメリカはその兄弟交配でずっとひとつの純系が出来ていて、しかもそれが続けば、例えば薬の実験をするにしても、皆体質が同じですから同じ結果が出てくる訳です。
 そういう動物は、非常に多くの交配から選ばれたということで、その事を考えてみた場合、我々が繁殖、特に近親交配をする際には特に強健な鳩を残していく、というような事を教えられると思います。
 そういう考え方で、日本で出来た系統というものを考えてみると、一番皆さんに説明し易いのが、名古屋の岩田ご兄弟が作られた岩田輸入系の鳩だと思うんです。

 ・  イレブン  2019年11月12日(火) 5:46 修正
・お2人とは戦前から友達だったものですから、戦後アメリカやヨーロッパから鳩を入れられた時にも、早速見せてもらったんですが、それがどんな鳩であったかと言いますと、チャンピオン・ダイジェスト誌84年の1月号に出ていますが、オペルからの4羽、アカルディーからの2羽、それからバイツマンのシオンとかブリクー、それにイギリスのアイザクソンやN.バーカーの鳩が来ております。
 その後に岩田系に入った鳩になりますと、ファンネーのソットというファンデールエスプト系の鳩、それからアルベール・モナンであるとか、フアンブリアーナのローレア、或いはイギリスのマザレーラ鳩舎から来たフェアーライト・キングの筋、それにオペルが良かったということで、ユーベルのオペル。それに岩田誠三さんが後からアメリカへ行かれて、アダムズの近親交配の鳩を持ち帰っておられますが、何れにせよそういった鳩から現在の岩田系が出来ている訳であります。
 さてそこで岩田系が出来た経過を見てみましょう。先ず例えばオペルという系統は、不順な悪天候に適応した能力を持っているのですが、それに私も注目しまして、20年以上も前のロンドン国際オリンピアードの際、アメリカの雑誌の主筆の方に伺ったところ、今アメリカではマツコーイのオペルが悪天候には一番強いと言うんです。ところがマツコーイのオペルが優勝するのは、分速800メートルにも満たないレースなんです。悪天候には強いがスピードはノロノロなんです。
 ついでに申しますと、オベルはイギリスの系統なんですが、やはり現在のイギリスの血統も、それだけにスピードに欠ける怨みがあります。
 ところが岩田系がオペルを基礎としていながら、どうして現在の1000Kや地区Nレースでも立派な成績を挙げているかと言いますと、もうひとつの基礎鳩にアカルディの鳩が入っている訳ですね。これはビュツタの系統なんです。
 ピュツタというのは、戦前アメリカで金に糸目を付けずに、鳩を輸入したカーティス鳩舎のハンドラーをしてた方なんです。
 カーティス鳩舎というのは、例えばシオン、プリクー、スタッサール等の獅WSを持っていたんですが、中でもアメリカ東部の気象条件に一番適合したのが、グルネーの系統だったんです。そしてその血統が引き継がれて、アカルディーになった訳です。
 そして岩田系も、このアカルディーの系統によってスピード性を増すことが出来た、こう私は解釈している訳です。
 それからバイツマン・シオンであるとかブリクーが入ってくる。このシオンとかブリクーというのは、私も戦前飼っていたので承知してますが、ファンデールエスプト等ともかなり交流があった訳ですので、非常にスピード性かある。ところが天気の悪い時は駄目、ということは欠点になる訳ですが、それを岩田鳩舎に於いてはオペルでカバー出来た、そう解釈出来ると思うんです。
 もうひとつ、ダジャレじゃありませんが、N.バーカーの血は馬鹿に出来ません。ご承知のように、4羽入ってバーカーの中で、4665というエドモンドソンのノーブルソンの直仔が、一番の功績が有りました。
 どういう特徴が有ったかと言いますと、オペル同様にイギリスのローガン系を、何代も1本に絞って純系で繁殖していた鳩舎で、このN.バーカーの血を純系で持つてきたのがエドモンドソン鳩舎で、そのノーブルソンというのは、純バーカーの繁殖によって出来た非常に素晴らしいレース鳩であった訳です。
 ですから岩田系というのは、オペルでは具合の悪い所をアカルディーの血統であるとか、シオン、ブリクーの血統の導入によって、スピード性が贈す方向に改良されていった。
 更に又岩田孝七君が言ってましたが、「私の入れた中ではN.バーカーのロビンソンの直仔が一番強健であった」ということです。やはり強健性というのは、レース鳩の条イ牛としては、不可欠の要素です。
 ですからそういう面で、4665の入っている系統は非常に強健だというのが、今日岩田系のある大きな素因となったのではないかと思うのです。
 そしてそう考えますと、先ほど言いました良い鳩を作る為に集めるべき全ての良い因子の第一が強健性である、と思う訳でございます。  


 戦前来、様々な勉強と研究を繰り返す中で得られた幾つかの結論として、良い鳩を作る為には、幾つかの必要な条件・性能を積み重ねていかねばならない。
 例えば優秀な性能を固定しようと近親交配に挑戦する時、強健性というものが必要とされるように。そしてそれらを実例に当てはめるならば、それは岩田輸入系がその最好例であり、全天候型の性能とスピード型の性能を如何に活かすかであった。そして事実、岩田系の成立過程においても強健性が一つの重要なファクターではなかっただろうか。

 ・  イレブン  2019年11月12日(火) 5:46 修正
その第1の因子を強健性とするならば、第2の因子はスピード性となります。
 更に我々が日本で鳩を飛ばす際、どうしても忘れることが出来ないのは、日本の天候です。日本の天候というのはヨーロッパと異なり。雨が降り出したら1日中でも降られる。更に日本の鳩は高い山を越えて帰って来なければならない。山の天候は平地と異なり、雨が降り出すのが早くて、止むのが遅いんです。それだけ山岳地帯の気象条件は悪い訳です。
 その中を帰って来なければならないのですから、悪天候に対する順応性といったことが、非常に重要になってきます。
 少なくともそれだけの条件を備えなければならんのですが、その他に我々日本人はせっかちなんですね。つい若い鳩を飛ばしたがる。だから早熟性でなければついて行くことが出来ない。
 最近ではベルギーでも若鳩レースかだいぶ盛んになって来ました。1月1剛こはヒナが生後7〜8日位になるようにしておいて、脚環が頒布されると同時にはめられるようにする。そしてそのヒナを6月から始まる若鳩レースに参加させる訳です。
 そして9川頃にはラ・スーテレーヌとかボルドーとかのかなりの距離を飛ばしているのです。ですから最近のベルギーの鳩は?塾性を身に付けて来た訳ですけども、これも我々としては無視出来ない条件のー一つだと思うんです。
 それからもうひとつ岩剛系が、今日まで連綿と成功を続けてきた大きな要因として考えられるのは、やはりその後も引き続いて岩田系の中に導入された種鳩が良かった。
 それからもうひとつ岩田系が、今日まで連綿と成功を続けてきた大きな要因として考えられるのは、やはりその後も引き続いて岩田系の巾に導入された種鳩が良かった。
 その中で一番貢献したのは、ファンネーさんのファンデールエスプト系のソットという鳩の直仔、或いはローレアの血統であるとかマザレーラ氏のフェアライトキングの直仔、岩田誠三さんが特って帰られたアダムズ系、これも近親交配の血統ですが、そういう良い異血交配が有効に働いて、今日の岩田系の良い成瀬が続いているんだと私は考えているんです。
 しかも注日すべきは、岩用さんの鳩は非常に近親交配が強く行われている。ご本人はそれほど強い近親交配はやっていないとおっしゃいますが、やはリダイジェスト誌の84年の2月号から3月号位に出ていますが、遡って調べていくとその近親交配というのは、長い期間にわたって随分なさってます。例えば777×619の作出鳩による近親交配というのは、くり返して交配され、結果的に随分強い近交です。その近親交配をされた、血統の元は近親交配によって出来だオペルの血統であり、同様に近交を重ねてきたエドモンドソン氏のバーカーの血統、更にはこれまた近交を重ねたアダムズの血統、そういったものが支えになっている。
 繰り返しになりますが、近親交配しても退化しないと言いますか、虚弱化しない体質のものがその基礎血統にあったということが、今日の岩田系を支えてきたんだと私は思います。
 私か岩田系を例に挙げたのは、一番分かり易いと思ったからなんですが、何れにせよレース鳩の一番の条件と言いますのは、強健|生である。頑健でなかったらレースに勝てないだけでなく、良い種鳩にもならんと、私は考えています。
 ところが面白い例があるんです。岩田さんのところにいたアカルディ系の777というのは黒胡麻のブチの雄で、同じアカルディ系の755は灰胡麻のやはり白ブチの雌で全くの兄弟姉妹だったんですが、私は755の方が健康であるからそちらの方が良いと思って、その仔鳩を譲っていただいたことがあったんです。これが裏目にでてしまいました。と申しますのは777という鳩は、岩田さんの鳩舎に来てから直ぐ翼病になってしまい、羽根を下げていたんです。これは種鳩としてダメではないかと思ったのです。ところがその77が619との交配によって、岩田さんの血統の一番根幹を成す基礎的な役割を果たすチャンピオンを作ったんです。
 即ち619というオペル系の非常に強健な雌を交配されたことによって、直仔は充分に強健な鳩が得られた訳です。
 ですから種鳩としての場合には、勿論健康というものを重視しなければならんけれども、それ以上に、出来た仔鳩の強健性と飛翔成績を重視しなければならんということですねOそちらの方が先決である、ということだと思います.
 それでは全く言っていることが違うではないか、ということになりかねませんが、健康ということはレース鳩としては非常に大切な条件でありますが、種鳩としては健康面で若干のマイナス条項が有っても、作出に実際に使ってみてその仔鳩が強健で育ちも良く、実際に飛ばしてみて好成績を挙げるならば、その方を優先的にすべきであると私は述べているのであります。
 勿論種鳩としては強健であり、しかも作出した仔鳩を飛ばして素晴らしい成績を挙げるに越したことは有りません.
しかしもう一度繰り返して申しますと、種鳩として何か一番大切かと言えば、良い飛翔嗚を作ることこそ最大の条件であります。何もかもが揃った素晴らしい種鳩は、皆さん入手したいと思っていますが、これはそう簡単には参りません。
 だから血統が良くて、体型も満足出来るものであれば、場合によってはある程度の他の欠点は我幔して、導入しなくてはならない。そしてその鳩か実際に満足する作出を果たしてくれるが否かという問題であるという点を強調したいのであります。
 この点は有名鳩界人が等しく実感していた所であります。しっかり頭に入れておいて下さい。
 有名鳩界人の金言のひとつを紹介しましょう。
 もう亡くなった人ですが、ベルギーのファンデールエスプト氏が、自分の持ってる成鳩のペアは少なくとも春に1回は繁殖してみる。そして種鳩としての価値を調べてみるべきであるということを書き残されています。
 そういう努力は、春の繁殖期にやる必要が有るんじゃないかと思います。
 今度はヨーロッパの鳩の話に移ってみたいと思います。

 先ほど我々の鳩に求めることとして、強健性とスピード性と申し上げましたが、日本のレースの有り方ではやはり優勝しないことには話にならん訳です。2位、3位では話にならない。そこでそのスピード性を何処から求めるかとなると、スピード性のある血統を手に入れなくてはならないことになります。
 そういう面から見ていくならば、やはり現在のヨーロッパの中で、我々の立場から考えて、一番スピード性もあって調整も効く、又長距離でも使えるということになると、これはローセンスを挙げざるを得ない。ここ数年来日本のそれぞれの地域で活躍した鳩を見ても、ローセンス系は圧倒的に強いようです。
 私もダイジェスト誌の8月号に書いてますが、やっぱり体形的にもなるほどと思われるものを持ってますし、私か実際に飛ばし、経験した上でも抜群のスピード性を持っている。
 ただ残念ながら、日本では絶好のレース日和と言うか、快晴が続く訳では有りません。1シーズンに1、2回は手酷い打撃を受けざるを得ないんですが、そこで果たしてローセンスが残ってくれるかどうかが問題です。
 私は、やはり以前ベルギーの血統でモーリス・デルバール系の鳩を飼っていましたが、秋田からの700 Kを近畿総合4位か5位の好成績で入賞した鳩がいたんです。この鳩をもう一遍飛ばしてやろうと思ってその翌年にもレースに参加させると、今1度は700 Kに行く迄に失踪させてしまうのです。私は、700 K総合のシングルに入った鳩をそれで3羽も失いました。
 ですからそういう欠点は、ローセンスにもあると思うんです。またローセンスという鳩は、我々は長距離も飛べるということで飛ばしてますが、本来から言うと中距離の鳩だと思うんです。だからこれが良いと思うローセンスの鳩が出来た場合は、残しておかんといけない。殊に純系のローセンスなら余計それか言えます。
 そういう欠点は持ってるけれども、スピード性という点では、本当に抜群のものを持っている。
 で、今日も話してたんですが、ローセンス系が何でこれだけのスピード性を身に付けたか、どうもこの点は、はっきりした結論が出てこないようです。
 まず基礎系統としてのファンスピタール系ということが頭に浮かぶんですが、ファンスピタール系は本来長距離のスピード系ですから、短距離であれだけの成績を挙げるというのは、ちょっと考えられない。
 まだご承知のようにローセンス氏もフアレスビダール系の鳩だけでは成功してないんです。
 又最近のローセンス系にあっては、あのリチャード・メルシュ氏のジュール・オンズの血を引くナショナルとかクラックの血液というものが入っている。
 それから又ポシエ氏の鳩。ポシエ氏と言えばベルギーでも財産家でして、良い鳩の血栽を集めているコレクターでもあります。ローセンス氏はポシエ氏の血統によっても良い成績を収めている。
 ところかローセンス氏にしてもリチャード・メルシュ系とポシエ系だけを入れたのかと言うと、そうではない。他にも沢山の鳩を導入しているけれど、その中でメルシュ系やポシエ系か今日のローセンス系をあらしめた、ということになるんです。そういうことを色々考えると。タイムりーに異血を注入して、その後代検定をきちっとして、今自分の持っている基礎血統に対してこれが一番良いんだという結論を出すのは、繁殖の一番良い方法ではないかと思います。
 私は山っ気か多いんで、いろんな血統を入れてやっておりますけど、やはり
大切なことは、最初に申し上げたように、強健であるということ。スピード性が有ること。それから悪大候の克服性があるということ。そして早熟性があるということ。それに長距離が目的であれば、長距離にも有効に働くだけのスピード性のあることなどかに必須条件ではないだろうかと思います。
 それからもうひとつ。私の嶋の60年間を振り返って見ますと、やは岩田鳩舎がそうであったように、あるていど近親交配でも強健性か保てるような基礎血統を持たんといかんのじゃないだろうかと思います。
 探していけばそういう近親交配に堪えうる血統がある筈で、そういったことも大切な要素になるんではないかと思います。
 これで今回のお話を終わらせて頂きます。ご静聴有り難うございました。

 換羽が終わりました! 鳩が一年間で最も「美しく」なる季節です。撮影の季節です。  イレブン  2019年11月9日(土) 11:39
修正
換羽が終わり、鳩たちが一番美しい季節になりました。秋晴れの日が続き、気候も良いので、愛鳩の撮影シーズンです。

換羽の仕上がりは明年の作出に深く影響します。こうして画像に残しておくことで1羽1羽を確認し、記録として検証するようにしています。

イレブンは、ヤンセンがローセンスに語った「美しさ」とは、鳩が内側から発する健康度の強さを指しているのではないかと考えています。そしてそのことは、ヤンセンが決して薬を使わないことや飼料に細心の注意を払っていることと深く関係しており、100年に亘って系統を維持できたことに繋がっているように捉えています。

※左画像は本日撮影しました。午前中に水浴させ、夕方に撮影しています。

 ・  イレブン  2019年11月9日(土) 22:07 修正

 ・  イレブン  2019年11月9日(土) 22:16 修正

 ・  イレブン  2019年11月11日(月) 5:27 修正

 研究資料:中野400号系  イレブン  2019年10月31日(木) 21:35
修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 21:50 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 21:51 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 21:52 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 22:11 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 22:22 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 22:24 修正

 ・  イレブン  2019年10月31日(木) 22:32 修正
左画像:ターザン号

 ・  イレブン  2019年11月11日(月) 5:27 修正

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38  過去ログ全 1184件 [管理]
スネークパパの部屋